IEC 61850-3/IEEE 1613 だけで、変電所の要件を満たせますか?
IEC 61850-3/IEEE 1613 はハードウェア耐性の前提条件ですが、機能面から単独で「変電所対応」と主張するには不十分です。まずはハードウェア前提(EMC/広温度範囲/振動など)を確認し、そのうえでIEC 61850-90-4 のネットワーク設計要点(冗長化、時刻同期、マルチキャスト性能、エンジニアリング文書)を検証してください。以下のリストは選定/受入および設計評価の参考になります。
一、ハードウェア前提(IEC 61850-3/IEEE 1613)
- EMC と環境耐性:電力グレードの耐ノイズ、広温度範囲、振動/衝撃(機種依存)。
- 電源と設置:AC/DC 二重冗長、DIN レールまたは 19″ ラック、産業用端子(機種依存)。
二、IEC 61850-90-4 ネットワーク設計の推奨
- 冗長トポロジー:PRP/HSR のシームレス冗長(必要に応じて RedBox で統合);RSTP/ERPS/α-Ring(非シームレス)との併用も可。
- 時刻同期:IEEE 1588v2 PTP(TC/BC は機種による)、Power Profile 対応;ハードウェアタイムスタンプ、低ジッタ経路。
- GOOSE/SV:マルチキャスト線速・低遅延;IGMP Snooping/Querier、スタティックマルチキャスト、Storm Control、QoS(802.1p/DSCP)。
- VLAN/トラフィックエンジニアリング:分離と優先度キュー(SP/WRR など;機種による)で即時性トラフィックを優先。
- SCL とエンジニアリングフロー:SCL(System Configuration Language)で構成・文書管理を実施;エンジニアリングツールと相互運用。
- 運用・保守診断:ポートミラーリング、Syslog、SNMP、イベントアラーム、ループ防止など、立上げと保守に有用。
※ IED/SCADA との相互接続が関わる場合は、IEC 61850-10 適合性および(該当する場合)UCAIug Conformance を別途確認してください。セキュリティは IEC 62351 シリーズを参照。機能は機種依存・プロジェクト仕様に準じます。
次のステップ:IEC 61850-90-4 と IEC 61850-3/IEEE 1613 の違い
関連リンク:IEC 61850-90-4 の適用判断—スイッチ選定とチェックポイント